スクラップアンドビルド社会より既存建物再生へ
日本では、圧倒的にスクラップアンドビルド(Scrap & Build)が選ばれる傾向があり、これを支持する強力な理由もあります。築浅い建物はより高い賃料を得やすく、テナントを引きつけやすく、銀行からも有利な融資を受けることができます。一方で、古い建物は維持費が高く、現在の耐震基準を満たしていない場合があり、高額な賃料を払うテナントを見つけるのが難しくなることもあります。また、場合によっては融資を受けられないこともあります。耐震工事やリノベーションは、新築に建て替えに比べて必ずしも大幅に安いわけではなく、建物の築年数という負のイメージを避けられないのです。
開発業者や建物の所有者が、解体ではなくフルリノベーションという珍しいアプローチを取るケースもあります。
新宿の信濃町にあるビンテージマンションもその一例です。建物は1971年に、当時としては贅沢な賃貸マンションとして建設されました。リノベーション前は、各階に1つの80平米ほどの部屋がありましたが、リノベーションにより既存の部屋の大部分が2つの小さな部屋に分割されました。1LDKの部屋は40~50平米、2LDKの部屋は65~88平米となっています。
約10年前、当マンションの賃料は坪単価10,000円でした。リノベーション後、現在の月額賃料は平均坪単価15,500円となっています。これは、近隣の築浅いマンションと比較して約18%安くなっています。リノベーションの費用は新築の60〜70%程度と見積もられましたが、現在の賃料は築浅い物件の約82%となっています。
この例では、リノベーションのメリットとして、工期が短い(13ヶ月)、建て替えよりもやや低コストであること、そしてCO2排出量を大幅に削減できること(新築と比較して約72%減少)が挙げられます。また、既存の建物は、敷地の新しい高さ制限を超えています。いわゆる、既存不適格建築物である。このような事例は、1960年代や1970年代に建てられた住宅地の建物でいくつか見かけました。再建築を行うと、9階建ての当マンションが最大で5階建てに縮小されることになります。
2024年9月6日
当社について
2014年に当社を設立し、現在、投資家、ファミリーオフィス、ファンド向けにコンサルティング、アドバイザリー、売買仲介サービスを提供しています。文化的理解、コミュニケーション、そして不動産に関する情報が、外国人投資家とビジネスをする鍵であると考えており、私は日本の不動産市場にアクセスを求める主要投資家にとって信頼できる仲介役としての独自の立場を築いています。外国人投資家やパートナーとの関係を強化したいとお考えであれば、ぜひご連絡いただき、一緒に協力できる方法についてお話しできればと思います。