シンガポールの区分所有オフィス高値取引と今後の供給制限に注目

シンガポールのオーチャードロードに面しているビルの区分所有オフィスが、平方フィート単価4500シンガポールドル(SGD)で売却されたと報じられています。区分所有オフィスはシンガポールではまだニッチな投資分野ですが、賃料の高騰を回避しようとする自社利用の企業買主や、資産保全を求める投資家から徐々に注目を集めています。

平方フィート単価4500 SGDで売却された「トングビルディング」は1978年に建設され19階建てで、1994年に改修されました。区分所有オフィスビルの1階にロレックスの店舗があるため「ロレックスビル」という愛称で呼ばれています。

今月、6階は民間医療グループのパークウェイ・ホスピタルズによって3130万SGD(約33億8000万円)で取得されました。これに基づく潜在的な表面利回りは約2.3%です。坪単価で計算すると約1750万円となります。この物件は先月終了した意向表明(EOI)キャンペーンで売りに出されました。EOIは、購入希望者が物件に対する関心を表明するための期間で、価格を含む表明を行うことが求められる場合がありますが、これは拘束力のないものです。

過去20年間で、このビルでは7件の売買取引が報告されています。2000年代初頭には平方フィート単価約1400 SGDで売却されていました。しかし今月の売却や8月に行われた別の売却では、平方フィート単価4000〜4500SGD(坪単価1500万〜1750万円)で取引されています。

シンガポールCBD(都心部)にあるグレードA区分所有オフィス「ソリティア・オン・セシル」は今年平方フィート単価4000〜4200 SGDで取引されています。この20階建てのビルは2028年に完成予定です。サンテックシティでは、2024年の平均価格が平方フィート単価3700 SGD(坪単価1420万円)となっています。現在、合計869坪の区分所有オフィス3区画がEOIで販売中で、今月終了予定です。ガイドライン価格は5710万SGD(約61億7000万円)です。サムスンハブでは、2021年と2022年の区分所有オフィスの平均価格が平方フィート単価4000 SGDを超えていました。数ヶ月前には、賃借中の区分所有オフィスが平方フィート単価4350 SGDで販売募集されました。このビルでの賃貸物件を基にした表面利回りは約2.9%と推定されています。

東京との比較では、今年6月に六本木ヒルズ森タワーの区分所有オフィス2階分が坪単価1260万円で売却されました。また、2024年2月には虎ノ門ヒルズビジネスタワーで坪単価約920万円で区分所有オフィスが売却されています。八重洲では、新築オフィスビルが坪単価2500万円で区分所有オフィスを販売しています。

シンガポールのオフィス全体延べ床面積の約16%が区分所有されていますが、将来の供給は制限される可能性があります。都市再開発庁(URA)は、2022年3月に、オーチャードロードやCBDを含む中央地域では、商業ビルや商業を含む複合用途プロジェクトでの区分所有オフィスが許可されなくなると発表しました。シンガポールでは、区分所有オフィスは外国の個人・法人購入者に対する追加印紙税(ABSD)の対象外です。ABSDは外国の個人・法人が住宅用物件を購入する際に60%の税がかかりますが、外国の方はオフィス、商業施設、工業・物流用不動産などの商業物件を制限なく購入できます。

2024年9月16日

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